ars●bitシンポジウム「アート×ゲームの新時代──〈遊び〉と〈芸術〉の根源をめぐって」

デジタルゲームはいま、国境や文化、社会体制の垣根を越えて、世界中の人々の共通体験となっています。近年では現代アートやメディアアートとの境界領域を独自の切り口で追求する企画展が相次いで開催されるなど、他の表現媒体を横断する事例も見受けられます。

「アート×ゲームの新時代──〈遊び〉と〈芸術〉の根源をめぐって」では、そんな分野横断型の芸術ムーブメントに第一線で携わるキーマンたちを集結し、7つのセッションを開催。第一線のプレイヤーたちが知恵を寄せあい、学びあう1日となりました。

本シンポジウムは、ars●bitプロジェクトがスタートして初めての本格的な公開イベントとなります。分野横断のコアとなる領域であるアートとゲームの接触のこれまでを検証し、これからのアーティスト / クリエイターたちにひろく本プロジェクトへの参加を呼びかける、新たな価値創造の芽を育むための公開企画会議の場として開催されました。

[開催概要]

日時:2025年3月16日(日) 10:00〜18:00

会場:404 Not Found 

入場料:無料

主催:一般社団法人渋谷あそびば制作委員会 / 404 Not Found

助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会

[プログラム]

◯全体モデレーター:中川大地(評論家 / 編集者)

10:00 開会あいさつ・祝辞ほか

10:10〈オープニングセッション〉「ars●bit」プロジェクトがめざすもの 〜キックオフ宣言

 村上雅彦(Skeleton Crew Studio 代表取締役 / 渋谷あそびば制作委員会 代表理事)

 石川武志(404 Not Found プロデューサー / 渋谷あそびば制作委員会 理事 )

 織田笑里(404 Not Found ジェネラルマネージャー)

 豊川泰行(ホテル アンテルーム 京都 マネージャー / art bit キュレーター)

オープニングセッション「『ars●bit』プロジェクトがめざすもの 〜キックオフ宣言」では、ars●bitの主要メンバーであるSkeleton Crew Studio 代表取締役の村上雅彦氏、404 Not Foundプロデューサーの石川武志氏、ジェネラルマネージャーの織田笑里氏、art bit キュレーターの豊川泰行氏らが、プロジェクト全体のコンセプトと活動予定の概略を語り合った。

11:00 〈セッション1〉ゲームアート / アートゲームのあゆみ:「イン・ア・ゲームスケープ」から「マシン・ラブ」へ

 谷口暁彦(メディアアーティスト / 多摩美術大学 情報デザイン学科 メディア芸術コース 准教授)

 畠中実(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]主任学芸員)

 葛西祝(ジャンル複合ライティング)

セッション1「ゲームアート / アートゲームのあゆみ」では、森美術館で開催している「マシン・ラブ」展アドバイザーでもあるメディアアーティストの谷口暁彦氏とNTTインターコミュニケーション・センター主任学芸員の畠中実氏が、ゲームアートおよびメディアアートの歴史を解説。対してジャンル複合ライティングの葛西祝氏が「アートハウス・ゲーム」と呼ばれるゲームジャンルの概略を語った。

13:00 〈セッション2〉現代アートのゲーム性とインディーゲームの芸術性:「art bit」のあゆみと現代美術史への介入

 豊川泰行

 中尾拓哉(美術評論家 / 芸術学)

 和多利浩一(ワタリウム美術館 CEO)

セッション2「現代アートのゲーム性とインディーゲームの芸術性」では、ワタリウム美術館 CEOの和多利浩一氏と、美術評論家の中尾拓哉氏がオンライン登壇。マルセル・デュシャンに始まる現代美術が持つゲーム性について議論が交わされた。

14:10 〈セッション3〉世界のアート×ゲームの多様性をさぐる:アジアとヨーロッパにおける「遊び」と「芸術」の結節点

 豊川泰行

 徳山由香(キュレーター / 研究者[現代美術])

 ジェレミー・コーティアル(アーティスト)

セッション3「世界のアート×ゲームの多様性をさぐる:アジアとヨーロッパにおける「遊び」と「芸術」の結節点」では、豊川泰行氏がアジアやヨーロッパ圏でのアート×ゲーム展の取り組みの多様性を紹介しつつ、現代美術キュレーター / 研究者の徳山由香氏とアーティストのジェレミー・コーティアル氏が登壇。ジェレミー氏のライブドローイングを交えながら、ゲームの「遊び」と絵を描くことの本質がいかにクロスしていくのかが、二人のパフォーマンスとして語られた。

15:20 〈セッション4〉デジタル・ヴァナキュラーアートの夜明け:「東洋美術」としてのピクセル/NFT/ジェネラティブ

 たかくらかずき(アーティスト)

 NIINOMI(NEORTディレクター / メディアアーティスト)

 吉積英子(現代美術家 / 衣装デザイナー)

セッション4「デジタル・ヴァナキュラーアートの夜明け:『東洋美術』としてのピクセル/NFT/ジェネラティブ」では、アーティストのたかくらかずき氏、現代美術家の吉積英子氏、メディアアーティストのNIINOMI氏が、先端的なテクノロジーメディアを自在に使いながら、いかにして自らの土着的ないし普遍的な表現の実践に繋げているかを語り合った。

16:30 〈セッション5〉まだみぬゲーム×アート×テクノロジーの可能性:「ars●bit」プロジェクトでのゲーム×アートの活動の展望

 塩見亮介(アーティスト)

 末浪勝己(ゲームプロデューサー・ディレクター)

 川上尚志(ユニバーサルアドネットワーク代表取締役CEO)

 石川武志

セッション5「まだみぬゲーム×アート×テクノロジーの可能性:『ars●bit』プロジェクトでのゲーム×アートの活動の展望」では、石川武志氏のモデレートにより、アーティストの塩見亮介氏とゲームプロデューサーの末浪勝己氏、ユニバーサルアドネットワーク代表取締役CEOの川上尚志氏により、古美術・伝統工芸とインディーゲームを結びつけることで新たなマーケット開拓を狙うプロジェクトの構想が披露された。

17:40 〈クロージングセッション〉

クローズドセッションでは、これまでの登壇者がシンポジウム全体の感想を語ったり、これからの展望について議論した。会場に駆けつけたメディアアーティストで東京藝術大学教授の八谷和彦氏も飛び入り参加している。