国際シンポジウム「ゲーム・プレイング・ソサエティを考える──〈遊び〉と〈芸術〉の境界面から」が2026年5月17日(日)、立命館大学にて開催

ars●bitプロジェクトと立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)は、2026年5月17日(日)、立命館大学 衣笠キャンパスにて、国際シンポジウム「ゲーム・プレイング・ソサエティを考える──〈遊び〉と〈芸術〉の境界面から」を開催いたします。
本シンポジウムは、前日の5月16日よりホテル アンテルーム 京都にて開幕する現代アート×ゲームの企画展「art bit #6:ゲーム・プレイング・ソサエティ」の連動イベントです。同展に出展する海外からの来日作家や協力者を中心に、国内外の第一線でアートとゲームテクノロジーの融合領域を切り拓く第一線のアーティスト、キュレーター、研究者が一堂に会して、ゲームと社会、そして芸術の未来を議論します。

■ ゲームが社会を「彫刻」する時代へ

かつて歴史家ヨハン・ホイジンガが提唱した人類を人類たらしめる性質としての〈遊び〉のマインドは、現代のテクノロジーと交わって巨大なデジタルゲーム産業を生み落としたばかりでなく、ゲームエンジンによるクリエイターエコノミーやeスポーツなど、新たな経済圏や社会文化を生み出しています。本シンポジウムでは、この状況をギリシャ・ローマの古典古代を範とすることで人間中心の近代文明を切り拓いた文芸復興(ルネサンス)に匹敵する文明変動と考え、あらゆる生命的存在が〈遊び〉の普遍性を捉え直すことで結びついていく「遊戯復興(ルド・ルネサンス)」とみなすビジョンを提唱。アーティストのヨーゼフ・ボイスが提唱した「社会彫刻」の概念を補助線に、遊びや芸術がゲームの力で社会に実装されていく未来=「ゲーム・プレイング・ソサエティ」の可能性を3つのセッションで探求します。
また、オープニング展示としてars●bitプロジェクトの育成クリエイターである戸村陽・薄羽涼彌・HSP99・ma 間マ摩(Shin)の4名が大阪・関西万博2025にて制作・上演した多人数協力ゲーム《The White Anteroom》の体験デモを実施。開発チームのメンバーによる作品解説も含めて、本シンポジウムの論点設定を行います。
前半の[セッション1]では、海外から招聘した様々なアート×ゲームに関する展覧会のキュレーター陣を中心とした報告と討議を行います。
基調講演は、遊び/ゲームを軸にあらゆるカルチャー領域の分野横断に取り組むクリエイター支援プロジェクト〈ars●bit(アーソビット)〉を代表し、art bit展のコンセプト監修を務める中川大地が担当。art bit展とそこから広がったart●bitプロジェクトによるアート×ゲームの分野横断のあゆみを紹介するとともに、アート批評とゲーム研究の境界面から「ゲーム・プレイング・ソサエティ」というテーマの背景を紹介します。
パネリストとして、韓国国立現代美術館(MMCA)にてビデオゲームの美学が現代アートや社会に与える影響を多角的に検証した「Game Society」(2023年)のキュレーション担当・Leeji Hong氏 、台北デジタル芸術祭(DAF)等でデジタルカルチャーを牽引するエンジンとしてのビデオゲームの可能性を提示する企画展「A-Real Engine」(2023年)のゲストキュレーター・Lee Chia Lin氏 、2021年から続く先端技術とアート&カルチャーに焦点を当てたフランス・アルルの芸術祭「Festival Octobre Numérique」を手がけるVincent Moncho氏の3名が登壇。
それぞれが手がけた展覧会の紹介を基盤に、世界のアート×ゲーム展が、どんな問題意識で遊び/ゲームとアートの境界を取り扱ったのかを議論します。
後半の[セッション2]では、art bitの出展アーティスト陣が、どのようにアート×ゲームの境界領域で作品制作を行っているかの報告と討議を行います。
後半部の基調講演として、今年度より発足した東京藝術大学映像研究科ゲーム・インタラクティブアート専攻教授でメディアアーティストの八谷和彦氏をお招きし、日本のメディアアートを牽引してきた立場から、アート×ゲームの境界領域でのクリエイションがどう社会実装や社会変革に結びついていくのかを展望していただきます。
パネリストには、VRやゲームエンジンを駆使し仮想空間における没入的な物語体験を探求するMélanie Courtinat氏 、ゲームメカニクスを社会的・寓話的な装置として再構成する作品を手がけるVincent Moulinet氏 、前衛的なアートゲーム制作を行いながら韓国・日本のゲームビジネスにも積極的にコミットするBae Sang Hyun氏 、ars●bitプロジェクトの育成対象者で鍛金工芸×ビデオゲームの新領域の開拓に挑む《GameArt Project「CÔGEIMU」》のディレクターを務めるカミエナ氏 の4名が登壇。
アートとゲームをめぐる問題や世界の状況をどのように受け止め、それぞれのクリエイション・コンセプトの中で応じているかを語り合います。
最後の[セッション3]では、登壇者一同で全体テーマ「ゲーム・プレイング・ソサエティ」の可能性をめぐる自由討論を行います。情報テクノロジーが世界を繋ぎ、世界中の人々が共通のゲーム体験を持てるようになっている状況とは裏腹に、その負の側面がますます権威主義の強化や人々の分断・対立を促し、世界中に凄惨な戦禍をさえ振りまいている現在。アートとゲームの垣根を越える表現が、この状況にどう向き合い、人類の新たな理想を生み出していけるのかを、ともに考えていければと思います。

■ 開催概要

  • 名称:国際シンポジウム「ゲーム・プレイング・ソサエティを考える──〈遊び〉と〈芸術〉の境界面から」
  • 日時:2026年5月17日(日)13:00〜18:30
       開場12:00 ※オープニング展示ゲームを体験可能
  • 会場:立命館大学 衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム
  • 入場料:無料
  • 言語:日本語・英語での逐次通訳を予定
  • 主催:ars●bit/一般社団法人渋谷あそびば制作委員会、立命館大学ゲーム研究センター(RCGS)
  • 助成:クリエイター支援基金

■ プログラム

12:00-13:00
[オープニング展示]《The White Anteroom》

開発:戸村陽・薄羽涼彌・HSP99・ma 間マ摩(Shin)

作品概要:
世代間宇宙船を舞台にしたケン・リュウのSF短編『もののあはれ』の一解釈を通して設計された体験型ゲーム・インスタレーション。大阪・関西万博2025にて同作を原作とした新作狂言上演時の余興・前室(Anteroom)として、4名のクリエイターにより2日間で開発されました。
当日配布のQRコード を読み込むことで、来場者がクルーとして参加できます。正面スクリーンに映し出される《イロソシキ》を、他のクルーと共に操作することで動きが変化します。白い空間にぽつんと空いた穴を、みなさまの手で修復してください。漂流の中で生まれる音は共鳴し、ひとつの物語が紡がれていきます。ぜひ、シンポジウムの幕間にご体験ください。

13:00−13:30
[イントロダクション]ルド・ルネサンスからゲーム・プレイング・ソサエティへ

  • 開会挨拶(主旨紹介)
  • オープニング展示解題:《The White Anteroom》について

13:30−15:20
[セッション1]世界のアート×ゲーム展覧会の最前線

  • 基調講演:中川大地(評論家・編集者 / art bitコンセプト監修)
  • 登壇:Leeji Hong(MMCA学芸員)、Lee Chia Lin(インディペンデント・キュレーター)、Vincent Moncho(キュレーター) 

(休憩)

15:35-17:25
[セッション2]これからのアート×ゲーム表現の課題

  • 基調講演:八谷和彦(メディアアーティスト・東京藝術大学教授)
  • 登壇:Mélanie Courtinat(アーティスト)、Vincent Moulinet(アーティスト)、Bae Sang Hyun(アーティスト・ゲームクリエイター)、カミエナ (ゲームクリエイター)

(休憩)

17:40-18:30
[セッション3]総合討論・質疑応答:「ゲーム・プレイング・ソサエティ」は世界の分断にどう抗えるか?

総合モデレーター:中川大地+豊川泰行(ホテル アンテルーム 京都マネージャー / art bitチーフキュレーター)

■ 連動企画:展覧会「art bit #6:ゲーム・プレイング・ソサエティ」

  • 名称:art bit – Contemporary Art & Indie Game Culture – #6
  • 会期:2026年5月16日(土)〜7月12日(日)10:00〜20:00
  • レセプション・ワークショップ:2026年5月16日(土)
  • 会場:ホテル アンテルーム 京都 GALLERY 9.5
  • 入場料:無料
  • 主催:ホテル アンテルーム 京都、株式会社Skelton Crew Studio、ars●bit/一般社団法人 渋谷あそびば制作委員会
  • 助成:クリエイター支援基金